
中塗り仕上げとは(読み方・英語)
定義:下地の不陸を整え、厚みと平滑性を確保する“中間層”を最終意匠として見せる左官仕上げ。
読み方:なかぬりしあげ/英語:Intermediate coat finish
現場での使いどころ/目的
- 内装:和室・土間ラウンジ・店舗の素朴意匠/照明で陰影を楽しむ壁面。
- 外壁:意匠としてのラフ肌、改修で上塗り工程を省きたいケース(※防汚・耐候は トップコート 併用)。
- 下地条件: モルタル 下地/ ラス 下地/ PB( プラスターボード )+硬化パテ調整後。
- 意匠表現:中塗り層のラフなコテ波・砂目・陰影を“見せ肌”として活かす。
- 素材感の演出:厚み由来の陰影・土やモルタルのマット感で空間の雰囲気をつくる。
- 工程最適化:上塗りを省くことで工期・予算を調整(※性能はトップコート等で補完)。
- 改修適性:リノベ等で“作り込みすぎない”表情を狙うときに有効。
左官仕上げの流れ
仕上げはまず 下地調整(パテ・フィラー) でピンホールや段差を整え、PB( プラスターボード )やモルタル面の通りを出します。 次に 下塗り を行い、付着力を確保しつつ吸い込みを均一化します(専用プライマー/下塗りモルタル等)。厚塗りし過ぎは割れや乾燥遅延の原因です。
続く 中塗り では不陸をさらに是正し、厚みと平滑性を確保します。ここで肌感(コテ波・砂目)を整えて、そのまま意匠として見せるのが 中塗り仕上げ (=中塗り止め)。 外装や汚れが気になる場所では、表層の防汚・撥水のため トップコート を併用します。
最終意匠まで作り込む場合は 上塗り(上塗り仕上げ) に進みます。色・質感・機能を付与する層で、 漆喰 ・ 珪藻土 ・ ジョリパット など材料により表情も性能も変わります。 この段階は下地の面精度に強く依存するため、前工程での通り出しと吸い込み管理が仕上がりを左右します。
いずれの工程でも、色・艶・肌の最終確認には 見本板 を用い、実際の照明条件に近い環境で合意を取ると失敗がありません。
施工上の注意点・よくあるミス
- 含水と乾燥:厚み5~10mm目安。急乾燥でマイクロクラック、過湿で白華や遅延強度。通風・直射回避。
- 下地:動く下地(合板・新設PBのジョイント)はメッシュ補強やジョイント処理を先行。
- 吸い込み差: シーラー で均一化。ムラ・色ブレ抑制。
- 面の通り:定規当てで“反り・うねり”を早期補正。後工程では直せない。
- 汚れ・耐候(外装):仕上げで止める場合は** トップコート **で防汚・撥水を付与。
- 見本合意: 見本板 で色・肌・艶感を事前合意(照明条件を現場に合わせる)。
関連する用語/手順
標準手順: 下地 → 下地調整剤 → 下塗り → 中塗り → (上塗り or 中塗り仕上げ) → トップコート
