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かき落としとは?(掻き落とし、かきおとし/scraped finish)
塗り付けたモルタルや土系・石灰系仕上げの表層が締まる直前〜直後に、表面を“かき取って”テクスチャを出す仕上げ。骨材の粒立ちや引っかき痕の方向性で陰影を作る。
代表的な道具・表情
- 道具:かき落とし用ブラシ(ヤシ/金属)、カキベラ、スクレーパー、ウィアブラシ
- 表情:全面粗目/縦引き・横引き/斜め引き/円運動/粗密ミックス
使いどころ/目的
- 外壁
- 雨筋・汚れが目立ちにくいマット質感。
- 通気層+透湿系下地と相性が良い厚塗り左官意匠。
- 内装
- アクセント面に骨材の粒感と陰影を付与。間接照明との相性が良い。
- 下地条件・材料(混同・誤用注意)
- 下塗りは平滑に面出し。かき落としは上塗りの表層加工であって、下地矯正の工法ではない。
- 粒度配合が表情を決める。細粒だけでは単調、粗粒過多は欠け・脱落リスク。
似ている用語
- かき落とし vs 洗い出し:双方とも骨材を見せるが、洗い出しは硬化前に水で表層セメントを洗い流す。かき落としは機械的に掻き取る。
- かき落とし vs 引っかき(スクラッチ)仕上げ:引っかきは櫛目状の規則線を意図的に刻む意匠。かき落としは面全体を粗し、粒立ちと不規則陰影を出す。
- かき落とし vs ブッシュハンマー仕上げ:ブッシュハンマーは硬化後の石・コンクリートを槌で荒らす。かき落としは塗り材の硬化初期に行う。
- かき落とし vs ラフ押さえ:ラフ押さえは押さえ操作で粗さを残す。かき落としは塗り付け後に“削る”操作を加える。
施工上の注意点・よくあるミス
- タイミング誤り
- 早すぎ:だれ・えぐれ。遅すぎ:削れず艶が出る/剥離。小面で試し掻きして決定。
- 押さえ過多の下地
- 上塗り直前に押さえ込み過ぎると表層が緻密化し、掻き取りにくい・剥離しやすい。
- 粒度・配合の不整合
- 粗粒過多で角欠け・脱落、細粒過多で単調。所要の最大粒径と比率を事前に試験施工。
- 乾燥・養生不足
- 直風・直射で急乾→ひび・白華。通風コントロールと日射遮蔽で緩やか乾燥。
- 粉じん・後始末
- 室内は集塵・養生を強化。外壁は下部の堆積粉除去と樋・排水の詰まり防止。
- 仕上がりの方向性無計画
- 引き方向(縦・横・斜め)を割付図で統一せず、継ぎ目で表情不整合。
- トップ処理の過多
- 膜厚型クリアは粒感を埋めやすい。必要時は浸透型・艶消しで試験確認。
関連する用語
左官仕上げ/通気層/吸水調整材/グレージング(斜光)/試験施工/そとん壁
洗い出し/引っかき仕上げ(スクラッチ)/ラフ押さえ/砂目仕上げ/浸透性クリア






