
漆喰の白さにこだわる理由|左官のプロが語る下地処理と美しい仕上げの秘訣
なぜ左官のプロは「真っ白の漆喰」を選ぶのか
リビングの塗り壁を選ぶ際、漆喰と珪藻土で迷う方は多いでしょう。色のバリエーションが豊富な珪藻土に対し、漆喰は基本的に白が中心です。しかし、左官のプロである田口氏は「自分のリビングには真っ白の漆喰を塗りたい」と即答します。なぜプロは白にこだわるのか。その理由は、白がインテリアを引き立てる力、そして美しい仕上がりを支える下地処理の重要性にありました。本記事では、田口氏へのインタビューを通じて、漆喰の白が持つ特別な魅力と、一般の方が知らない施工の秘訣を解説します。

主要トピック「漆喰 vs 珪藻土 徹底比較リビングの塗り壁 完全ガイド」
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田口氏が語る漆喰選びのポイント|知っておきたい基礎知識
田口氏は長年の経験を持つ左官のプロで、内装の塗り壁、特にリビングの施工を数多く手がけてきました。今回のインタビューでは、漆喰と珪藻土の比較を軸に、それぞれの特徴と選び方について語っていただきました。
田口氏の専門性は、単に材料の特性を知っているだけでなく、「なぜその材料を選ぶのか」という明確な理由と、「どう施工すれば美しく仕上がるのか」という実践的な知見にあります。特に注目すべきは、一般のユーザーには見えない「下地処理」へのこだわりです。仕上げ材だけでなく、その下に塗る中塗り材の選定が、最終的な美しさを左右するという職人ならではの視点は必見です。
また、色漆喰を「敬遠する」という率直な意見や、リビングの仕上げデザインについて「全体にパターンをつけると重くなる」という具体的なアドバイスも、実際の施工経験に基づいた貴重な情報です。白い壁の汚れについても、「自然素材なので風合いとして認識してもらえれば問題ない」という、長期的な視点での提案がなされています。
田口氏が推奨するメーカーは、漆喰では 城かべ (田川産業)、珪藻土では フジワラ化学 シルタッチです。これらは長年の使用実績から信頼できる製品として挙げられています。
【インタビュー】左官のプロ・田口氏に聞く「漆喰の白と下地へのこだわり」
内装の塗り壁について、特にリビングのことを教えていただきたいのですが、まず塗り壁にはどんな種類があるんですか。
なるほど。田口さんがもし自分のリビングを塗り壁にするなら、漆喰と珪藻土、どちらを選びますか。
リビングには漆喰を塗りたいですね。 天然素材 でシンプルな壁が自分の好みです。
どうして漆喰なんでしょうか。珪藻土も 自然素材 ですよね。
珪藻土自体は天然素材ですが、漆喰は一般的に手に入れやすく、長い歴史があり実績もあります。安価に手に入るということもあり、私は真っ白の漆喰が好みです。これはあくまでも好みの問題ですが。
真っ白というと、まっさらな感じで良さそうですね。
そうですね。今の洋間では、白の壁を塗ることで、昔の仏間に塗る漆喰とは全然イメージが変わってきました。白い壁は他のインテリアや花、絵画が映えるので好きなんです。
漆喰と珪藻土って、塗った後の固まり方に違いはあるんですか。
固まり自体は両方ともそんなに変わらないと思いますが、一番の違いは色です。ユーザーさんにとっては白なのか白以外なのかというところですね。
ということは、漆喰は白が基本なんですか。
基本はやはり白ですね。 色漆喰 という商品もありますが、色ムラが出やすいので我々は敬遠しています。乾き方によってこの部分はこの色、あの部分は別の色になってしまうことがあるんです。
それは困りますね。珪藻土だとどうなんでしょう。
珪藻土は色ムラがほとんど分かりません。色を気にする方は珪藻土の方がメリットがあります。
費用の面ではどうでしょうか。どちらが高いんですか。
材料費自体は漆喰の方が安価に手に入ります。ただし、施工方法によって手間や値段は変わってきます。厚く塗る場合は両方ともそんなに変わりません。
おすすめのメーカーや商品があれば教えていただけますか。
なるほど、そういう見えない部分も大事なんですね。では、実際にリビングの 塗り替え を考えている場合、どう選べばいいでしょうか。
白だったら漆喰、ベージュ系だったら珪藻土という考え方が良いでしょう。 調湿性 などの性能はさほど変わりませんので、色をつけたい方は珪藻土、白でいきたい方は漆喰という考えで良いと思います。
工事にかかる期間は変わりますか。
変わらないですね。施工としては珪藻土の方が扱いやすく、塗りやすいです。漆喰はしっかり押さえる必要があるため、ある程度手をかけないと良い仕上がりになりません。
長く使っていくと、色褪せたり 変色 したりしませんか。
変色の違いはありませんが、真っ白の壁は汚れが目立ちやすいです。特に部屋の角やドア周りなど触りやすい場所は黒ずんできたりします。ただ、両方とも自然素材なので、汚れてもそれなりの風合いがあり、それを認識していただければ問題ないと思います。
最後に、リビングに塗る場合、仕上げの模様みたいなものはどうすればいいでしょうか。
珪藻土だったらこれ、漆喰だったらこれみたいな。あと漆喰で僕らで言うと、その一番その漆喰の仕上げの材料よりも、よく漆喰を塗られている内装の漆喰を塗られている職人さんなんかは、下地の中塗り材をこだわる方がやっぱりいいってことですね。この中塗り材は水持ちがいいって言うんですけど、その 下塗り を塗ると 上塗り の漆喰が塗りやすいよみたいな、それが職人さんのこだわりですね。
私たちユーザーというか一般の人はそこまでは分からない。でも職人さんはそういう下地の仕上がりまでこだわっている。
下地の材料が良ければ仕上がりが良くなるっていうのがあるので、その辺はお客さんには見えないところで、このメーカーの何々の下塗り材がいいよって言うようなことがあったりしますね。
内装で特にリビング 塗り替え を考えている方にアドバイスがあればお願いします。
先ほどから言えるように、白だったら漆喰、それ以外のベージュ系だったら珪藻土というような考え方。調湿だったりそういう素材の性能は私としてはさほど変わりはないような気がしますので、あくまでも色をつけたい方は珪藻土、白でいきたい方は漆喰というような考えでいかれると良いんじゃないかなというふうに思います。
塗る面積とかパターンとかによっても変わると思うんですけど、珪藻土と漆喰壁だと工期ってどれぐらい変わってくる、あんまり変わらないと考えていますか。
変わらないですね。扱いはやっぱり珪藻土の方が、施工する方としては珪藻土の方が扱いは良いように思います。
扱いやすい、塗りやすいというか。言い方は悪いですけど、ごまかしが効くよっていう。漆喰はそれもパターンによっては違うんですけど、塗りっぱなしみたいなこともあるんですけど、しっかり押さえるって言うと、やっぱりある程度手をかけないと良い仕上がりにならないという感じですよね。
漆喰と珪藻土で耐久性とか、あるいは変色みたいなところって違いがあったりしますか。
変色の違いはないですけど、やっぱり真っ白の壁っていうのは汚れがやっぱりつきやすいっていうのは間違いないところで、そこをどういうふうに考えるか。例えば建物の部屋の角だとかドア周りだとかが、どうしても触りやすいので黒ずんできたりということは、どちらの壁もそういうことはあるんですけど、白だとやっぱり目立ちやすいっていうのはあって。ただ僕はやっぱり思うのは、壁は両方自然素材なんですけども、汚れてもそれなりの風合いなので、それはそういうもんだっていうことを認識してもらうなり、ご説明するなりっていうことをすれば問題にはならないんじゃないかなというふうには思っています。
漆喰の壁にもいろんな仕上げパターンがあると思うんですけれども、リビングにはこういうのがいいよねっていうのがあれば教えてください。
そうですね、意匠(デザイン) に関しては、全体的には押さえて平滑に仕上げるっていうのがお勧めで、例えばリビングに一面、よくあるのがテレビボードっていうかテレビの面だけパターン付けするだとか、陰影をつけるっていうようなアクセントを一面、部屋の一面に持ってくるみたいなのが洒落てるんじゃないかなと思うんですけど。
ラフな仕上げみたいな。
そうですね、 ラフ仕上げ であったり、櫛目を入れてみたりだったり、 コテ抜き仕上げ、竹仕上げ。陰影がつくとちょっとそこの面だけイメージが変わってくるようになる。全体的になるとやっぱりちょっと重くなっちゃったりするので、この面だけちょっと遊んでみようかみたいなのがいいかなと思います。
ありがとうございます。
プロの視点を深掘り|白い漆喰と下地処理が仕上がりを左右する理由
真っ白な漆喰がインテリアに与える効果
田口氏が「真っ白の漆喰が好み」と語る背景には、白が持つ特別な力があります。白い壁は他のインテリアや花、絵画を引き立てる役割を果たします。これは、白がニュートラルな色であり、どんな色とも調和するためです。
現代の洋間に真っ白の漆喰を塗ると、昔の仏間に塗られていた漆喰とは全く異なるイメージになります。すっきりとしたモダンな印象が生まれ、空間全体が明るく広く感じられます。これは壁紙の白とも質感が異なり、漆喰特有のマットで柔らかな白さが、上質な空間を演出するのです。
特にミニマルなインテリアや 北欧 のスタイルを好む方にとって、漆喰の白は最適な選択です。装飾を最小限に抑え、素材の質感で勝負する空間づくりにおいて、漆喰の自然な白さは欠かせない要素となります。
色漆喰を避ける本当の理由|色ムラのリスク
インタビューで田口氏は、色漆喰を「敬遠している」と明言しています。その理由は、乾き方によって色ムラが出やすいためです。「この部分はこの色、あの部分は別の色になってしまう」という現象は、色漆喰特有の問題です。
漆喰は石灰を主成分とした材料で、乾燥する過程で化学反応が起こります。この反応速度が部分によって異なると、色の濃淡が生まれてしまいます。特に色を添加した場合、この色ムラが顕著に現れるのです。
一方、珪藻土は「色ムラがほとんど分からない」と田口氏は語ります。色を気にする方は珪藻土を選ぶべきという助言は、現場で数多くの施工を経験してきたプロだからこそ言える、実践的なアドバイスです。
色漆喰のリスクを避け、安定した美しい仕上がりを求めるなら、漆喰は白を選ぶのが賢明です。白であれば色ムラの心配がなく、施工後のトラブルも最小限に抑えられます。
見えない下地材が仕上がりを決める
田口氏のインタビューで最も注目すべきは、「下地の中塗り材へのこだわり」です。一般のユーザーには見えない部分ですが、この下地材の選定が最終的な仕上がりを大きく左右すると言います。
「下地の材料が良ければ仕上がりが良くなる」というのは、経験から得られた真理です。中塗り材の「水持ちが良い」という表現は、材料が適度に水分を保持し、上塗りの漆喰が塗りやすくなる状態を指します。
下地材 の水持ちが良いと、 上塗り材 が急激に乾燥することなく、ゆっくりと均一に硬化していきます。これにより、ひび割れ(クラック)が起こりにくく、表面の平滑性も向上します。また、コテの滑りが良くなるため、思い通りの仕上げを実現しやすくなるのです。
このような「見えないこだわり」が、完成後の美しさと耐久性を支えています。漆喰の施工を依頼する際は、仕上げ材だけでなく、下地材にもこだわる職人を選ぶことが重要です。
一面アクセントで空間を格上げする方法
リビングの仕上げデザインについて、田口氏は明確な提案をしています。「全体的には押さえて平滑に仕上げ、一面だけパターンをつける」というアプローチです。
特におすすめなのが、テレビボードの背面壁にアクセントを持ってくる方法です。テレビ周りは自然と視線が集まる場所であり、この一面だけに ラフ仕上げ、櫛目仕上げ、コテ抜き仕上げ などのパターンをつけることで、陰影が生まれ、その面だけイメージが変わります。
「全体にやると重くなってしまう」という指摘は重要です。四方の壁すべてにパターンをつけてしまうと、空間が落ち着かなくなり、圧迫感が生まれます。一面だけに「遊び」を入れることで、メリハリのある洗練された空間が完成するのです。
この「引き算の美学」は、長年の経験を持つプロだからこそ提案できる、バランス感覚に優れたデザイン手法と言えるでしょう。
白い壁の汚れと長く付き合うコツ
田口氏は、真っ白の壁の欠点についても正直に語っています。「汚れが目立ちやすい」という点です。特に部屋の角やドア周りなど、触りやすい場所は黒ずんできます。
しかし、これは漆喰に限らず、珪藻土でも同様に起こる現象です。違いは、白だと目立ちやすいという点だけです。重要なのは、田口氏が語る「認識」です。「自然素材なので、汚れてもそれなりの風合いがある。それを認識してもらえれば問題ない」という考え方です。
新品の真っ白な状態だけが美しいのではなく、生活とともに変化していく壁の表情を楽しむ。この姿勢こそが、塗り壁と長く付き合う秘訣です。完璧を求めすぎず、 経年変化 を「味」として受け入れることで、塗り壁のある暮らしはより豊かになります。
施工前に家族でこうした認識を共有しておくことが、後々のトラブルを避け、満足度の高い住環境を維持するポイントです。

主要トピック「漆喰 vs 珪藻土 徹底比較リビングの塗り壁 完全ガイド」
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漆喰の施工を検討中の方へ
田口氏のインタビューから学べるのは、漆喰の白が持つ普遍的な美しさと、見えない部分へのこだわりの重要性です。リビングに真っ白の漆喰を検討されている方は、ぜひ下地処理にもこだわる左官職人に相談してください。当サイトでは信頼できる左官のプロをご紹介しています。お気軽にお問い合わせください。
編集後記|白へのこだわりに学ぶこと
田口氏の「真っ白の漆喰が好き」という明快な答えには、プロとしての確固たる美意識がありました。色のバリエーションが豊富な現代において、あえて「白」を選ぶ理由。それは、白が持つ普遍性と、他を引き立てる謙虚さにあるのだと感じます。そして、お客様には見えない下地材へのこだわり。この誠実な仕事ぶりこそが、美しく長持ちする塗り壁を生み出すのだと、改めて学ばせていただきました。


