
土壁は、古くから日本で使われてきた塗り壁で、下地から表面まで土を使った壁のこと。調湿作用があるため、日本の高温多湿な気候に適した壁である。
江戸時代の頃には、城や蔵、また住居まで幅広く使用されていた。工程としては、下地の竹で編んだ小舞、荒壁、中塗り、仕上げ塗り、となり、土に藁(ワラ)を混ぜることにより強度が増し調湿効果が高まる。原料の種類や混ぜる素材によって肌合いが様々であり、 砂壁 と比べてカラーや仕上げのバリエーションが豊富で独自の壁ができる。防火、断熱、調湿、脱臭、吸音、遮音など様々な機能に優れている。自然素材の為アレルギーや シックハウス になりにくい。デメリットとしては、クロス貼りよりも工期が長く、費用も3~5倍高くかかる。仕上げ材料により、 じゅらく壁 、錆壁、大津壁、 漆喰壁などがある。
使いどころ/目的
- 内装
- 伝統的な和室・数寄屋・民家の壁仕上げ
- 落ち着いた質感と調湿性を求める居室・店舗
- 外装
- 町家・土蔵・伝統木造建築の外壁(軒や庇で雨をよける意匠とセット)
- 下地条件
- 木舞・竹小舞下地/荒壁・中塗りを段階的に塗り重ねる構成
- 動きの少ない木造軸組と相性が良い
- 設計・診断・維持管理
〈混同・誤用に注意〉
- 漆喰仕上げと混同されやすいが、土壁は土を主成分とした下地兼仕上げを指す。
- 「土間」とは別で、床ではなく壁構成の話である。
似ている用語
- 土壁と漆喰:土壁は土が主体、漆喰は消石灰が主体で、仕上がりの硬さと白さが異なる。
- 土壁と珪藻土仕上げ:両者とも調湿性があるが、土壁は伝統工法で厚みが大きい。
- 土壁とモルタル壁:モルタルはセメント系で硬く重いのに対し、土壁はやや柔らかく調湿性が高い。
- 土壁と石膏ボード下地+塗り壁:後者はボード下地の上に薄塗りする工法で、土壁のような厚い荒壁・中塗り構成とは異なる。
施工上の注意点・よくあるミス
- 下地・含水
- 木舞・竹小舞の組み方が粗い/不均一だと、土の付きが悪くクラックや剥離の原因になる。
- 荒壁土の含水が多すぎると、乾燥収縮が大きく割れやすい。
- 温湿度・養生
- 乾燥を急がせると大きなクラックが入りやすいので、直射日光や強風を避けてゆっくり乾かす。
- 冬季の低温時は硬化遅延や凍害に注意する。
- 材料選定
- 土の種類・砂の量・藁すさの長さや量で、ひび割れやコテさばきが変わるため、事前の試し塗りが望ましい。
- 目地・取り合い
- 柱・梁・建具枠との取り合い部は動きが出やすく、チリ切れやクラックの出やすい部分となる。
- 雨仕舞い
- 外部土壁は庇・縁側・水切りとのセットで計画し、雨掛かりの強い面では仕上げや納まりを慎重に検討する。
関連する用語
土壁と伝統塗り壁の基礎知識|構成・性能・メンテナンス
荒壁/中塗り/漆喰/珪藻土/木舞・竹小舞/調湿性/クラック/チリ切れ/雨仕舞い/左官仕上げ
