
伸縮目地とは?(しんしゅくめじ/expansion joint, movement joint)
仕上げ材や下地が温度変化・乾燥収縮・湿潤膨張・地震やクリープで動くことを見越し、意図的に設ける“動ける隙間”。目地材(シーリング材・バックアップ材・目地棒など)で構成し、割れ・はく離・押し合いを防ぐ。
基本構成
- 目地幅・深さ:設計時に決め、動き量に見合う断面で確保
- バックアップ材:発泡体などで二面接着を作り、シール材の断面形状を安定
- シーリング材:部位・環境に適した可とう性・耐候性のものを選定
使いどころ/目的
- 外壁(モルタル・タイル・石貼り・サイディング)
- 温湿度変化・下地収縮による割れを分割吸収。
- 開口部周り・入隅・長尺面の応力集中を緩和。
- 床・土間・外構
- コンクリート床・テラス・アプローチのひび割れ制御と雨仕舞い。
- 仕上げ材の熱伸縮・車両荷重に追従。
- 内装(大型面・長廊下・エントランス)
- 床・壁の長手方向で分割。下地→仕上げまで通しで計画。
- 下地条件・納まり(混同・誤用注意)
- 仕上げ目地=伸縮目地とは限らない。伸縮目地は下地から連続させる。
- 防水ラインと整合(外壁や床の防水層は層内で止水し、表層はシールで追従)。
似ている用語
- 伸縮目地 vs 誘発目地(コントロールジョイント):前者は動ける隙間+シールで可動吸収。後者は切り込み・溝で割れ位置を誘導し、必ずしもシールしない。
- 伸縮目地 vs 打継ぎ目地(コールドジョイント):打継ぎは施工工程の継ぎ目。伸縮目地は応力・動き対策の計画目地で目的が異なる。
- 伸縮目地 vs 化粧目地(タイル目地・左官目地):化粧目地は意匠・充填が主。伸縮目地は可動性・防水が主で、バックアップ材+シールを伴う。
- 伸縮目地 vs エキスパンションジョイント金物:金物は大きな変位を許容する装置。伸縮目地は一般部の可動目地で、変位量のレンジが異なる。
施工上の注意点・よくあるミス
- 三面接着
- シール材が底面にも接着すると追従力低下・破断。バックアップ材やボンドブレーカーで二面接着にする。
- 断面設計の不備
- 目地幅に対し過剰な深さ/浅すぎは破断や剥離の原因。設計値どおりの幅×深さと形状比を守る。
- 下地からの不連続
- 仕上げだけ目地を切っても下地が連続していれば効果薄。下地→下塗り→仕上げまで通しで切る。
- プライマー省略・不適合
- 密着不良・早期はがれ。指定プライマーを清潔・乾燥面に所定量。
- 伸縮分割の取り忘れ
- 長尺面・入隅・開口周りに目地なし→不規則クラック。割付図でピッチ・位置を先決。
- 納まりの雨仕舞い不良
- 外壁・床で水返し・笠木・見切りと整合しないと浸入・堆水。水上/水下の納まりを明確化。
- 可とう性能の選定ミス
- 硬すぎるシール材で追従不足、軟らかすぎてたわみ・汚れ付着。**部位・環境(外部・床・車両荷重)**で使い分け。
- 汚染・はみ出し
- 目地際のマスキング不足で汚染・はみ出し。マスキング→ヘラ押さえ→即時剥離の順守。
関連する用語
目地計画/防水層/二面接着/バックアップ材/ボンドブレーカー/タイルボンド
誘発目地/打継ぎ目地/エキスパンションジョイント/シーリング材(プライマー)/笠木・水切り・見切り材
