この記事を読んで欲しい人
予算とのバランスで素材を決めたい新築検討中のユーザー
テラスにいくらかけるべきか相場感がなく、コンクリート・モルタル・タイルの価格差がどこから生まれるのかを知りたい。
見た目と耐久性のどちらを優先すべきか迷っている検討中のユーザー
タイル、木材、樹脂デッキなど選択肢が多く、それぞれの耐久性やメンテナンスの手間を具体的に比較したい。
すでに提案を受けていて、業者の説明が正しいか確認したいユーザー
業者から特定の素材を勧められたが、他の選択肢と比べて本当に適切か、プロ視点での判断材料が欲しい。

テラスに使える素材の種類(モルタル・コンクリート・タイル・木材・樹脂デッキ)
テラスの床に使われる素材は、大きく分けてコンクリート、モルタル、タイル、木材(ウッドデッキ)、樹脂デッキの5種類です。それぞれ見た目や施工方法、費用感が異なるため、まずは全体像を把握しておくと、その後の比較がしやすくなります。
屋外の床に使われる代表的な5素材とその特徴
コンクリートは、型枠に流し込んで平面を仕上げる、最もシンプルで費用を抑えやすい工法です。強度が出やすい一方、デザイン性はシンプルにとどまります。
モルタルは、下地のコンクリートの上に塗って仕上げる素材です。立ち上がり部分も一緒に仕上げられるため、コテ跡を活かした表情を出すなど、コンクリートよりも意匠性を持たせやすいのが特徴です。玄関からテラスにかけて目地のない連続した空間を作れるため、空間を広く見せたいケースにも向いています。実際に、玄関とテラスを金鏝仕上げのモルタルでシームレスにつなげた施工事例もあります。
タイルは、コンクリートやモルタルの下地の上に貼る仕上げ材です。耐久性が高く、割れたり剥がれたりしにくいのが特徴で、見た目のバリエーションも豊富です。木目調のタイルを使えば、木材の質感を再現しながら耐久性を確保することもできます。実際に、屋外でも滑りにくく耐久性の高いタイルを使った施工事例や、耐久性と美観を両立させる磁器質タイルを使った施工事例、アプローチに木目調タイルを用いて意匠性を高めた施工事例などがあります。
木材のウッドデッキは、直接座ったり寝転んだりできる肌触りの良さが魅力です。ただし、経年劣化しやすく、定期的な塗装やメンテナンスが欠かせません。
樹脂デッキは、木目調の見た目を保ちながら、腐食やシロアリのリスクを抑えられる素材です。メンテナンスの手間を減らしたいけれど、木の質感も諦めたくないという方に向いています。
石材やスタンプコンクリートなど、その他の選択肢
上記5素材のほかにも、石材を使ったテラスや、型を使って石畳やレンガ調の模様をコンクリートに転写するスタンプコンクリートという選択肢もあります。ただし、一般的な戸建てのテラスではそこまで多く採用される工法ではなく、デザイン性を重視する一部のケースで選ばれる傾向にあります。スタンプコンクリートについては、工法や向き・不向きを別記事で詳しく解説しています。
このセクションのまとめ
- テラスの代表的な素材は、コンクリート・モルタル・タイル・木材・樹脂デッキの5種類
- コンクリートは費用を抑えやすく、モルタルは意匠性を持たせやすい
- タイルは耐久性が高く、木目調など見た目のバリエーションも豊富
- 木材のウッドデッキは肌触りが魅力だが、定期メンテナンスが必須
- 樹脂デッキは木の質感を保ちながらメンテナンスの手間を抑えられる
- 石材やスタンプコンクリートは、デザイン性重視の一部のケースで選ばれる選択肢

価格はなぜ違う?コンクリート・モルタル・タイルの積み上げ構造
テラスの素材選びで気になるのが、やはり価格です。コンクリート、モルタル、タイルは、単純に横並びで比較できるものではなく、実は「積み上げ」の関係にあります。この構造を理解しておくと、見積もりの内訳にも納得しやすくなります。
コンクリートを1とした場合、モルタルは2、タイルは3という考え方
現場の感覚としては、コンクリートの費用を1とすると、モルタル仕上げはその2倍程度、タイル仕上げは3倍程度になるといわれています。これは、それぞれの素材が単独で成立しているわけではなく、下地の上に次の工程が重なっていく積み上げ型の価格構造になっているためです。つまり、タイルを美しく仕上げるためには、その下にコンクリートの下地があり、必要に応じてモルタルで調整するという工程を経ることが多く、素材そのものの価格差というより、工程の積み重ねによって費用が上がっていくというイメージです。
価格差が生まれる工程・工法の違い
コンクリートは、型に流し込んで天端(表面)を仕上げるだけのシンプルな工法です。工程が少ない分、費用を抑えやすくなります。
モルタルは、コンクリートを打設したあとに、その上から塗って仕上げる工程が加わります。天端だけでなく立ち上がり部分も同時に仕上げられるため、コンクリートよりも手間がかかり、費用も上乗せされます。また、下地の精度や下地処理の丁寧さによって、モルタルの仕上がりや耐久性(割れやすさ・めくれやすさ)が左右されるため、その分の技術料も価格に反映されます。
タイルは、下地の上にさらに仕上げ材を貼る工程が加わるため、素材費・施工費ともに最も高くなる傾向にあります。ただし、その分、耐久性や意匠性の面で優れており、焼き物であるがゆえに経年劣化しにくいという長所もあります。単純な価格の高さだけでなく、「何にその費用を払っているのか」を工程ごとに理解しておくことが、納得のいく素材選びにつながります。
なお、水はけが悪く水たまりができやすい立地では、通常のコンクリートより高額になりますが、水を浸透させて排水する「浸透性コンクリート」という選択肢もあります。目安として通常のコンクリートの2倍程度の費用がかかるとされていますが、勾配だけでは対応しきれない立地では有効な手段です。
このセクションのまとめ
- コンクリート:モルタル:タイルの価格比は、おおよそ1:2:3の積み上げ構造
- タイルはコンクリート・モルタルの下地の上に成り立っているため、素材単体でなく工程全体で価格が決まる
- モルタルは立ち上がりも仕上げられる分、コンクリートより手間と費用がかかる
- タイルは費用が最も高いが、耐久性・意匠性・経年劣化のしにくさで優れる
- 水はけの悪い立地では、通常の2倍程度の費用がかかる浸透性コンクリートという選択肢もある

素材ごとのメリット・デメリット
前のセクションでは価格の構造を見てきましたが、ここでは素材ごとの強みと弱みを整理します。価格だけでなく、それぞれの特性を理解した上で選ぶことが、後悔しないテラスづくりにつながります。
コンクリート・モルタルの強み・弱み
コンクリートの最大の強みは、価格の安さと強度の出しやすさです。型に流し込んで仕上げるシンプルな工法のため、施工の自由度は高くありませんが、その分コストを抑えられます。デメリットとしては、意匠性に乏しく、無機質でシンプルな印象になりやすい点が挙げられます。
モルタルは、コンクリートに比べて立ち上がり部分も一緒に仕上げられるため、コテ跡を活かした表情など、多少の「色気」を出せるのが強みです。玄関とテラスをつなげてシームレスな空間を演出することもできます。一方でデメリットは、コンクリートよりもコストがかかること、そして下地の処理が丁寧でないと、ひび割れやめくれが起きやすいという点です。下地作りの技術力が仕上がりを大きく左右する素材といえます。
タイル・木材(ウッドデッキ)・樹脂デッキの強み・弱み
タイルの強みは、なんといっても耐久性です。焼き物であるため経年劣化がしにくく、意匠性の高さも大きな魅力です。木目調やテラコッタ調など、デザインの選択肢も豊富にあります。デメリットは、コンクリートやモルタルに比べて費用が高くなる点です。
木材のウッドデッキは、直接座ったり寝転んだりできる肌触りの良さが最大の強みです。木の質感を求める方には根強い人気があります。一方で、経年劣化しやすく、防腐材を含んだ塗料での定期的な塗り直しが欠かせないという手間がデメリットになります。
樹脂デッキは、木目調の見た目を保ちながら、腐食やシロアリの心配を抑えられるのが強みです。木の質感に近い雰囲気を維持しつつ、メンテナンスの負担を軽くしたい方に向いています。ただし、木材そのものが持つ質感や経年の風合いの変化を求める方には、物足りなく感じられる場合もあります。
このセクションのまとめ
- コンクリートは安価で強度が出やすいが、意匠性は乏しい
- モルタルは立ち上がりも仕上げられ表情を出しやすいが、下地処理の丁寧さが仕上がりを左右する
- タイルは耐久性・意匠性ともに高いが、費用は高め
- 木材のウッドデッキは肌触りが魅力だが、定期的な塗装メンテが必須
- 樹脂デッキは木目調を保ちつつメンテナンスの手間を抑えられる

耐久性・メンテナンスのしやすさで選ぶなら
価格や見た目と同じくらい重要なのが、完成後どれだけ手間をかけずに使い続けられるかという視点です。素材によってメンテナンスの負担は大きく異なるため、ここで整理しておきましょう。
掃除だけで済む素材、定期的なお手入れが必要な素材
タイルとモルタル・コンクリートは、基本的にはたまに掃除をする程度で維持できる素材です。特にタイルは焼き物であるため、古くなっても高圧洗浄などで汚れを落とせば見た目を保ちやすく、割れや浮きといったトラブルもモルタルに比べて起きにくい傾向があります。モルタルはコンクリートと比べて大きな差はないものの、下地の精度によっては割れや浮きがやや出やすい点に注意が必要です。
一方、木材のウッドデッキは、これらとは対照的に、最もメンテナンスの手間がかかる素材です。防腐材を含んだ塗料を定期的に塗り直さないと、表面が劣化し、最終的には強度そのものが落ちてしまいます。屋外で雨風や紫外線にさらされ続けることを踏まえると、数年ごとの塗り直しを前提にしておく必要があります。
屋外での劣化しにくさランキング的な考え方
経年での劣化しにくさという観点では、タイルが最も優れているといわれています。色あせやひびといった変化自体はどの素材にも起こり得ますが、モルタルの汚れやひびは「経年の味」として捉えられることも多く、逆に自然な風合いの変化として説明されることもあります。ただし、劣化を「味」として楽しめるかどうかは好みが分かれる部分でもあるため、将来的にどう見えていくかまで含めて素材を選ぶ視点も大切です。
なお、メンテナンスの主体は基本的に施工した業者ではなく、住まい手自身になります。日常的な掃除や、汚れが気になった際の高圧洗浄など、簡単な手入れの方法を事前に知っておくことで、素材本来の耐久性を長く活かすことができます。
このセクションのまとめ
- タイル・モルタル・コンクリートは掃除程度で維持でき、特にタイルは割れ・浮きが起きにくい
- 木材のウッドデッキは防腐塗装の定期的な塗り直しが必須で、最も手間がかかる
- 経年での劣化しにくさはタイルが優れているが、モルタルの色あせやひびは「味」として捉える考え方もある
- メンテナンスの主体は住まい手自身であり、掃除や高圧洗浄など基本的な手入れ方法を知っておくと安心

プロによって好みが分かれる理由——タイル派と木派
ここまで機能面での比較を見てきましたが、実は左官のプロの間でも「一番好きな素材」は分かれます。それぞれがどんな理由でその素材を選んでいるのかを知ることは、自分自身の優先順位を整理するヒントになります。
耐久性重視なら「タイル」を推す理由
複数の左官職人が、個人的に一番のお気に入りとして挙げるのがタイルです。理由として共通しているのは、やはり耐久性の高さです。焼き物であるタイルは、経年劣化がしにくく、長期的に見た仕上がりの安定感があります。見た目の面でも、木目調やテラコッタ調など選択肢が豊富で、後々のメンテナンスに手間をかけたくない、できるだけ美観を保ちたいという方には、タイルを選ぶメリットが大きいといえます。
座り心地・肌触りを重視して「木」を推す理由
一方で、木を一番好きな素材として挙げる職人もいます。理由は、直接座ったり寝転んだりしたときの気持ちよさです。コンクリートやモルタル、タイルの上に直接寝転ぶのはあまり心地よいものではありませんが、木であれば、肌に触れたときの温かみや質感を楽しめます。定期的な塗装というメンテナンスの手間はかかるものの、それを差し引いても「使い心地」を優先したいという価値観の表れといえるでしょう。
この2つの考え方は、どちらが正解というわけではなく、テラスに何を求めるかという優先順位の違いから生まれています。「とにかく手間をかけずに長く使いたい」ならタイル、「素材そのものの心地よさを楽しみたい」なら木、というように、自分の使い方に照らして考えてみると、素材選びの軸が定まりやすくなります。
このセクションのまとめ
- 複数のプロが個人的な一番のお気に入りとしてタイルを挙げ、理由は耐久性の高さ
- 一方で、座り心地・肌触りの良さから木を推すプロもいる
- どちらが正解というより、テラスに何を優先するかという価値観の違いが表れている
- 「手間をかけずに長く使いたい」ならタイル、「心地よさを楽しみたい」なら木、という軸で考えると選びやすい
編集後記
素材選びは、価格や見た目だけで決めると、あとで「思っていたのと違った」となりがちです。私たち左官職人の間でもタイル派・木派で意見が分かれるように、正解は一つではありません。日々の掃除でいいのか、手入れの手間も楽しみたいのか——ご自身の暮らし方に合わせて選んでいただくのが、一番後悔のない選び方だと感じています。



