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大谷石

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大谷石のイメージ

大谷石とは?(おおやいし/Oya stone)

栃木県宇都宮市大谷町周辺で産出する軽石凝灰岩。多孔質で軽量・軟質のため加工性が高く、独特の斑点(ミソ)と柔らかい緑灰色が特徴。耐火性に優れる一方、吸水性が高いため外装では納まりと保護が要点。

主な特徴

  • 質感:ざらりとした素地、孔が不均一。切肌・小叩き・研磨などで表情変化。
  • 組成:火山ガラス・スコリア・火山灰などを含む凝灰岩。
  • サイズ・加工:ブロック・小端積み・割肌パネル・タイル貼りなどに対応。

使いどころ/目的

  • 内装
    • アクセントウォール、受付カウンター、炉まわり(耐火性)。
    • 多孔質ゆえの吸音性・拡散性で音環境の緩和。
    • 仕上げの保護に浸透型シーラーを検討(艶を抑える配合を選ぶ)。
  • 外壁・外構
    • 塀、門柱、袖壁、腰壁。通水面・天端は凍害・汚れ対策として笠木や水切りを必須。
    • 通気層+躯体防水を前提に、目地・排水ディテールを明確化。
    • 海岸部・寒冷地では凍害に注意し、吸水を抑える呼吸型撥水剤を検討。
  • 下地条件・納まり
    • 直張りは限定的。基本は機械的固定(SUSアンカー)+弾性接着引掛け工法
    • 重量・寸法差が出やすいので、目地幅の許容通り墨を事前定義。
    • リフォームでは既存下地の含水・中性化せり出し荷重を確認。

混同注意:御影石(緻密で硬質)や大理石(再結晶石灰岩)と強度・吸水が大きく異なる。屋外長期耐久は別設計。


似ている用語

  • 大谷石 vs 御影石(Granite):前者は軽石凝灰岩で軟質・吸水大、加工しやすく温和な表情。後者は火成岩で硬質・緻密、外部耐久・耐摩耗に優れるが加工コストは上がる。
  • 大谷石 vs 大理石(Marble):前者は耐火性・多孔質で屋外は保護必須。後者は酸に弱く外装で雨掛かりは白化・溶蝕に留意。内装の意匠性は高い。
  • 大谷石 vs 砂岩(Sandstone):どちらも吸水・汚れに注意だが、砂岩は層理がはっきりし剥離対策が要点。大谷石は孔の粗密による割付・見付の表情管理が要点。
  • 大谷石 vs 人工石・テラゾー:人工石は品質均一・軽量化が可能。大谷石は天然のムラ・孔が魅力で、選別と部位使いで活きる。

施工上の注意点・よくあるミス

  • 含水管理不足:濡れたまま施工→乾燥ムラ・白華。搬入・保管は雨養生、貼付前に表乾を確認。
  • 天端無対策笠木・水切りなしで凍害・汚れ垂れ。必ず勾配(外倒し)と滴縁を設ける。
  • 接着材の選定誤り:セメント系一択は危険。外装は弾性接着+機械固定、内装は下地に応じエポ改質等を使い分け。
  • アンカー腐食:鉄アンカーの使用で錆汁。SUS304/316を原則、切欠き部は防錆処理
  • 目地設計の甘さ:熱・湿度変形を見ずに長手連続貼り→割れ・浮き。伸縮目地ブロック割付を事前設定。
  • 薬剤光沢の出過ぎ:表面保護で艶が上がり質感喪失浸透型・艶消しを試験施工で選定。
  • 研磨粉じん対策不足:切断・小叩き時の粉じんが多い。屋内は負圧・集塵機、周辺養生を徹底。
  • 直張りでの剥離:石自体の吸水+下地動きで界面破壊。通気・逃げ界面プライマーでリスク低減。

関連する用語

石材/凍害/白華/撥水剤/通気層

この用語も併せてご覧ください