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外壁下地(責任施工)とは?(がいへきしたじ/responsible-subcontractor system for exterior substrates)
左官・外壁仕上げ業者が採用工法・材料の選定と下地施工までを一体で請け負い、性能と結果に責任を持つ発注形態。材工分離や元請手配の下地ではなく、仕上げ側が下地仕様を確定し、検査・保証の窓口となる。
概念
- 分界点:仕上げ業者の責任が及ぶ範囲(例:胴縁・ラス・下塗り・含水管理・通気層・付属金物)。
- 一体保証:仕上げの付着・割れ・浮きなどを下地起因も含めて担保できる。
- 指定工法:メーカー標準仕様や認定工法を前提に積算・施工・記録を行う。
使いどころ/目的
- 外壁(湿式・乾式の境界が曖昧な案件)
- モルタル塗り・樹脂系テクスチャ・左官仕上げで付着・クラック の起点が下地に及ぶ場合。
- リノベや混構造など、既存下地のばらつきが大きい場合に一体管理でリスク低減。
- 設計・発注側の目的
- 窓口一本化(不具合時の責任追及を明確化)。
- 品質の平準化(採用工法・材料が現場毎にブレない)。
- 施工記録(含水・温湿度・付着試験・写真)を保証条件として整理。
- 下地条件(混同・誤用注意)
- 「材工共」=価格条件で一括という意味で、責任施工=性能一体保証とは別概念。
- 「元請責任」=契約上の最終責任であり、施工技術の一体管理は責任施工側に置く。
似ている用語
- 責任施工 vs 材工分離:前者は仕上げ業者が下地まで統括し不具合の窓口が一本化。後者は材料と施工が分かれ、原因切り分けが困難になりやすい。
- 責任施工 vs 指定施工店制度:指定店は施工資格の枠組み。責任施工は契約スキームで、下地・仕上げを一体で保証する。
- 責任施工 vs 設計仕様固定(設計責任強め):設計図に下地仕様が厳密記載される型。責任施工は採用仕様の最終決定と実装を施工側が担う。
- 責任施工 vs 監理強化のみ:監理は検査機能。責任施工は施工手段・材料選択と保証まで含む。
施工上の注意点・よくあるミス
- 分界点の曖昧さ
- 通気胴縁・ラス金物・コーナービード・防水紙の誰施工かを契約書・施工要領書に明記。
- 含水・温湿度の未管理
- ALC・モルタル下地の含水率、施工時気温5〜35℃・相対湿度85%以下目安を日報・写真で記録。
- 通気層・排水経路の欠落
- 入・出気口の閉塞、胴縁厚不足、サッシ周りの水返し・水切り未設置→夏冬型結露・白華。
- 付着下地の面不陸・粉化
- 面出し不足、レイタンス・型枠剥離剤残りで付着低下。吸水調整材・プライマーを正規手順で。
- 材料トレーサビリティ欠如
- ロット混用・混練水過多で色ムラ・強度低下。ロット管理と**混練条件(回転数・時間・水量)**を記録。
- 外装目地・納まりの不足
- 長尺面の伸縮目地、開口部の三面接着回避・バックアップ材・プライマーを仕様書で固定。
- 試験未実施
- 現場付着試験・目視基準を省略すると保証根拠が弱くなる。試験体・モックアップで最終確認。
- 写真・書類不足
- 保証条件に必要な工程写真・検査記録・材料証明が未整備→保証不可。
関連する用語
通気/防水紙・透湿防水シート/付着試験/伸縮目地/保証
ラス/下地/ALCパネル/サイディング下地/ベースコート・プライマー



