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スクラッチタイル

スクラッチタイル

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スクラッチタイル(scratch tile)とは?

表面に櫛で引っかいたような筋や溝を設け、粗い質感に仕上げた外装用タイルです。細長い形状や土の風合いを生かした製品が多く、近代建築や昭和期の住宅、集合住宅、学校、店舗などの外壁や腰壁に見られます。

左官工事との関係では、タイル自体を塗って仕上げるわけではありませんが、張付け用のモルタル目地詰め、下地調整、欠損部の補修などで左官技能が関わります。特に既存建物の改修では、タイルの浮きだけでなく、下地モルタルの劣化、ひび割れ、雨水の浸入経路まで確認する必要があります。

表面の溝は意匠として設けられたものであり、施工時についた傷ではありません。また、モルタル表面を道具で掻き落とすスクラッチ仕上げとは、材料も施工方法も異なります。設計図や打ち合わせで「スクラッチ」とだけ指定すると認識違いが起こりやすいため、タイル仕上げなのか、塗り仕上げなのかを明確にします。

使いどころ/目的

外壁・外装

表面の陰影によって壁面に奥行きを与え、焼き物らしい質感を表現する目的で用いられます。溝の深さ、タイルの色幅、目地の太さによって印象が大きく変わるため、タイル単体ではなく、目地を含めた施工見本で確認することが重要です。

外壁で使用する場合は、製品の用途区分、耐候性、吸水性、下地への張付け方法を確認します。凹凸面には汚れや雨だれが残りやすく、庇の有無や雨掛かりの程度も経年変化に影響します。

腰壁・門柱・店舗外装

人の目や手に近い位置では、粗い表面と細かな陰影を生かした素材感を表現できます。一方、通路や狭い場所では、突出した部分への接触や欠けに注意が必要です。出隅には役物を使用するか、小口の納まりを事前に決めます。

改修・保存工事

既存のスクラッチタイルを残す改修では、打診などにより浮きや剥離の範囲を調査します。部分的に張り替える場合、同じ寸法でも色、焼きむら、溝の形、厚さが一致しないことがあります。補修材で形状だけを再現する方法もありますが、タイルと補修モルタルでは吸水や経年変化が異なるため、事前の試験施工が必要です。

左官工事との関係

下地と張付け層を一体で確認する

タイルの浮きは、タイルと張付け材の界面だけでなく、張付け材と下地モルタルの間や、下地モルタル内部でも生じます。改修時は表面だけを接着して済ませず、どの層で剥離しているかを確認します。

新設では、コンクリートやモルタル下地の強度、不陸、含水状態、汚れを確認し、採用する工法と製品仕様に適合した下地処理を行います。下地の動きが想定される箇所では、伸縮調整目地などの位置も設計段階で検討します。

目地が外観と耐久性を左右する

目地の色や深さは、スクラッチタイルの陰影を左右します。深目地にすると立体感が強まりますが、雨水が滞留しやすい納まりや、充填不足にならないよう注意が必要です。目地モルタルは奥まで充填し、ひび割れや隙間を残さないことが基本です。

補修は色だけで判断しない

既存品に合わせるときは、色だけでなく寸法、厚み、溝の方向、凹凸、目地幅を確認します。近似色でも大面積では差が目立つため、補修範囲のまとめ方や張り替え位置を設計者・施主と共有しておきます。

似ている用語

スクラッチタイル 定義:表面に引っかき筋のような溝を設けた焼き物のタイル 用途:外壁、腰壁、門柱、近代建築の改修 材料:陶磁器質タイル、張付けモルタル、目地材 注意点:表面の溝と、下地モルタルを掻く工法を混同しない

スクラッチ仕上げ 定義:塗り付けたモルタルなどの表面を櫛状の道具で掻き、筋を付ける仕上げ 用途:壁面の意匠仕上げ、次工程に向けた下地形成 材料:モルタル、各種左官仕上げ材 注意点:タイルではなく、塗り材そのものに模様を付ける工法

二丁掛タイル 定義:標準的な小口平タイルのおおむね2枚分に相当する横長形状のタイル 用途:外壁、柱型、店舗ファサード 材料:陶磁器質タイル、張付け材、目地材 注意点:寸法区分を示す名称であり、表面がスクラッチ状とは限らない

せっ器質タイル 定義:比較的低い吸水性と焼き物らしい風合いを持つタイルの区分 用途:外壁、床、外構など製品ごとの適用箇所 材料:粘土などを主原料とする焼成材 注意点:材質区分と表面意匠は別であり、使用箇所は製品仕様で確認する

レンガタイル 定義:レンガの色調や形状、質感を表現した薄い仕上げ用タイル 用途:内外壁、店舗、住宅のアクセント壁 材料:焼成タイル、張付け材、目地材 注意点:レンガそのものとは厚みや構造上の役割が異なる

施工上の注意点・よくあるミス

浮きをタイル表面だけの問題と判断する

浮きや剥落は、下地のひび割れ、張付け材の塗り不足、施工時の乾燥、層間の密着不良など複数の原因で起こります。打診調査や必要に応じた部分撤去により、剥離している層を確認して補修方法を選定します。

溝の方向や色幅がそろわない

スクラッチ模様には方向性があり、混ぜ張りの不足や向きの間違いによって不自然な帯状の差が現れます。施工前に複数箱を開けて色幅を確認し、割付図と基準方向を職人間で共有します。

目地詰めが不十分になる

凹凸の強いタイルでは、目地材が表面に残りやすいため、清掃を急いで充填不足になることがあります。適切な道具で目地の奥まで詰め、硬化状態を見ながら表面を清掃します。酸洗いなどの洗浄方法は、タイルや目地材を傷める場合があるため、製品仕様と試験施工による確認が必要です。

既存品と補修品の差を見落とす

古いタイルは経年の汚れや退色を含んだ色に見えるため、新品を単体で合わせても施工後に差が出ます。乾燥時と濡れ色の両方を確認し、可能であれば目地を含む実物サンプルを既存壁の近くで比較します。

伸縮目地を意匠上の理由で省略する

広い壁面や構造の取り合いでは、下地の動きを吸収する目地が必要になる場合があります。タイル割りだけを優先して目地位置を変更すると、ひび割れや浮きにつながるため、設計図、下地条件、メーカー仕様を照合して納まりを決めます。

関連する用語

上位概念

建築材料
外壁
タイル工事

関連する用語

スクラッチ仕上げ
張付けモルタル
目地モルタル
タイルの浮き
打診調査




よくある質問

  1. 質問: スクラッチタイルの施工は左官工事に含まれますか?
    回答: 工事区分は契約や現場によって異なりますが、下地モルタルの調整、張付けモルタル、目地詰め、欠損補修には左官技能が関係します。タイル工と左官工の担当範囲が分かれる場合は、下地精度や施工時期、責任範囲を事前に確認します。
  2. 質問: 既存のスクラッチタイルに浮きがある場合、接着剤の注入だけで直せますか?
    回答: 注入補修が適用できるかどうかは、浮いている層、浮きの範囲、下地強度によって異なります。下地自体が脆弱な場合やタイルが大きく変位している場合は、撤去して下地から補修する方法も検討します。
  3. 質問: スクラッチタイルとスクラッチ仕上げは同じものですか?
    回答: 同じではありません。スクラッチタイルは表面に筋状の凹凸がある焼成タイルで、スクラッチ仕上げはモルタルなどの塗り材を道具で掻いて模様を付ける左官工法です。
  4. 質問: 古いスクラッチタイルと同じものを部分補修できますか?
    回答: 同一製品が廃番になっていることが多く、色、寸法、厚み、溝の形まで完全に一致させるのは難しい場合があります。近似品や再利用材、補修モルタルなどを比較し、目地を含む試験施工で見え方を確認します。
  5. 質問: 外壁に採用するときはサンプルの何を確認すればよいですか?
    回答: タイル単体の色だけでなく、溝の深さ、色幅、張る方向、目地幅、目地色、目地の深さを確認します。自然光や斜めからの光では陰影が強く出るため、可能であれば複数枚を張った大きめのサンプルで判断します。