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透湿

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透湿は建物にとって重要な要素

透湿とは?(とうしつ/vapor permeability)

壁体や仕上げ材が水蒸気を通す性質。液体の水は通さず、空気の流れ(透気)とも区別する概念。評価には透湿抵抗・透湿係数・Sd値(相当空気層厚さ)などを用いる。

用語補足(評価指標の要点)

  • 透湿係数:水蒸気がどれだけ通るかの指標。値が大きいほど通しやすい。
  • 透湿抵抗/Sd値:水蒸気を通しにくさの指標。値が大きいほど通しにくい。設計では室内側を“やや通しにくく”、室外側を“通しやすく”する勾配設計が基本。

使いどころ/目的

  • 内装(左官仕上げ・塗り壁)
    • 室内の余剰水蒸気を緩やかに逃がし、結露リスクを低減
    • 調湿系材料(例:漆喰、土、石膏系)と相性が良い。
  • 外壁(壁体構成)
    • 透湿防水シート+通気層で、雨水は止めつつ水蒸気を屋外へ排出。
    • 冬型結露・夏型結露対策として、室外側ほど透湿性を高める層構成が定石。
  • 下地条件・納まり
    • 室内側:連続した防湿・気密層を確保し、壁内への過剰な水蒸気流入を抑制。
    • 室外側:透湿性の高い層+通気層で抜け道を確保。
    • 断熱材の種類(繊維系/発泡系)や面材の透湿性も整合させる。

※類似用語との混同注意:**防湿(防湿層)**は“通しにくくする”、透気は“空気を通す”、防水は“液体水を止める”、透水は“液体水を通す”。


似ている用語

  • 防湿:室内側に配置する“水蒸気を通しにくくする層”。透湿は“通す性質”の一般概念。設計では「室内側=やや防湿」「室外側=透湿」の勾配づけが要。
  • 透気空気(気流)を通す性質。透湿は水蒸気分子の拡散が主で、気密と両立可能。気密欠損は結露悪化の誘因。
  • 防水/透水:防水は液体の水を遮断。透水は液体水を通す。透湿は“液体ではなく水蒸気”の移動に着目しており、雨仕舞い設計とは別軸。
  • 調湿:材料内部で吸放湿して室内湿度を緩和。透湿は壁体を貫く蒸気の通過性で、機構が異なるが併用で安定度が増す。

施工上の注意点・よくあるミス

  • 室内側の防湿・気密の連続性欠損
    • コンセントボックス、開口部まわりのテーピング不足で壁内に水蒸気流入→結露リスク増。
  • シートの取り違え
    • 防水シート透湿防水シートの混同、室内側に高透湿シートを誤配置などは勾配破綻の典型。
  • 通気層不良
    • 入出気口の閉塞、胴縁ピッチ不整、換気経路の途中閉塞で排湿が機能不全
  • 下地の含水率未管理
    • 含水の高い下地に左官を重ねると乾燥遅延・白華・色ムラ。施工前に含水率チェック。
  • 材料選定のミスマッチ
    • 透湿性の低い仕上げ膜を外側に置き、内側に高透湿仕上げを重ねると逆勾配になり壁内結露の温床。
  • 気候条件を無視した乾燥養生
    • 低温高湿や無通風で蒸気圧差が不足換気・通風を確保して段階的乾燥。
  • 金物・貫通部の処理漏れ
    • ダクト・配管まわりのブチルテープ/パッキン未施工で局所結露・カビ。

関連用語

防湿/気密/通気/透湿防水シート/結露(冬型・夏型)
漆喰/珪藻土/石膏プラスター/石膏ボード/繊維系断熱材/押出法ポリスチレンフォーム/発泡ウレタン/白華/雨仕舞い