
断熱とは?(だんねつ/thermal insulation)
熱の出入りを抑えるために、建物の外皮や部位に断熱材・空気層・構成を計画すること。目的は室内の快適性・省エネ・結露抑制。断熱は気密・防湿・通気とセットで成立する。
使いどころ/目的
- 外壁・屋根・天井
- 外張り断熱:構造体の外側に連続配置。熱橋を抑えやすい。
- 充填断熱:柱間やふところに充填。施工性・コストで有利。
- 床・基礎
- 床断熱:1階床下で外気と区切る。点検性は良い。
- 基礎断熱:基礎立上りを断熱し床下を室内側扱い。配慮すべき点は防蟻・気密。
- 内装・改修
- 既存内側からの付加断熱や内装下地内充填。**結露リスク(防湿位置)**に注意。
- 下地条件・注意(混同・誤用に注意)
- 断熱と遮熱は別。断熱は熱移動全般の抑制、遮熱は輻射の反射が主眼。
- 気密欠損があると性能が落ちる。断熱ラインと気密ラインの連続が前提。
似ている用語
- 断熱と遮熱:断熱は伝導・対流・放射すべての移動抑制を狙う。遮熱は放射(輻射)を反射して日射熱取得を抑える。
- 断熱と保温:断熱は外皮全体の熱流低減。保温は配管・タンクなど局所の熱損失抑制。
- 外張り断熱と充填断熱:外張りは連続性が取りやすく熱橋に強い。充填は施工性・コストに優れるが柱・金物部の熱橋に配慮。
- 床断熱と基礎断熱:床断熱は床下外気、基礎断熱は床下を室内側。前者は点検性、後者は温度安定に利点がある。
- 防湿層と気密層:防湿層は水蒸気の侵入抑制、気密層は空気漏れ抑制。同一材料で兼用できる場合もあるが設計意図は別。
施工上の注意点・よくあるミス
- ラインの不連続
- 断熱材の欠け・隙間、金物周りの熱橋放置。割付図と現場調整で連続化。
- 気密の取りこぼし
- コンセントBOX・配管貫通・天井際の漏気。気密テープ・気密カバー・発泡充填で止める。
- 防湿位置の誤り
- 冬型結露を招く。室内側適切位置に防湿層、外側は通気・透湿を確保。
- 濡れたまま密閉
- 雨濡れ材を封じてカビ・性能低下。乾燥確認→封止を徹底。
- 押し込み過多・圧縮
- 繊維系を押し込み→密度ムラ・性能低下。規定厚・密度を守る。
- 固定・支持不足
- ボード系のたわみ・落下。機械固定/接着/受け材を併用。
- 通気層の閉塞
- 外壁通気・屋根通気の入口/出口を塞がない。棟換気・水切りを正しく納める。
- 防蟻ラインの切断(基礎断熱)
- 断熱材継ぎや貫通部で防蟻処理の連続性を確保。
関連する用語
外皮性能/快適性/省エネ
