
左官のプロが解説|谷澤 雄司:色とパターンを“見本板”で決め切る
ジョリパットは、写真だけでは決めきれない——。180色・40超のパターン、骨材と塗厚でいくつも表情が生まれるからこそ、見本板→現場立会い→当日微調整の三段階で“思い描いた質感”を再現することが肝になります。本記事では、左官職人・谷澤雄司が語る選び方の勘所をもとに、色とパターンを迷いなく決め切る手順を一気通貫で整理。端部の納まりや観察距離まで見据え、満足度の高い外壁・内装へ導きます。

主要トピック「ジョリパット完全ガイド」
こちらの関連記事では、総合的に「ジョリパット」について解説しています。この記事の後に是非ご一読下さい。
「人気色にしたのに、家に塗ったら“何か違う”」——そんな不安、よくわかります。ジョリパットは環境と距離で見え方が変わる“生き物”。でも大丈夫。A4以上の見本板を昼・夕・室内で見比べ、当日は職人とコテ運びの合図を共有すれば、理想の表情にまっすぐ近づけます。迷いは工程で解けます。あなたの「これだ」を、一緒に形にしていきましょう。
左官のプロに聞く:ジョリパットの豊富なパターンで実現する塗り壁の表情
ありきたりでない住宅を実現したい。何かおすすめはありますか?
だったらジョリパットがオススメ。色もパターンも他の仕上げ素材とは違い圧倒的に種類が豊富だから。
内装、外壁を問わず仕上がりも綺麗で目を引くし、意匠(デザイン)にこだわりたい方、塗り壁の機能性だけでなく、美しい見た目に拘りたい方にはピッタリだと思う。
私、どちらかと言えば「他人と同じ物では嫌だ」と思うタイプなのでジョリパットがピッタリかも。タニザワさんはジョリパットについて詳しい?
そうだね、前の会社の時に社長に結構しごかれたのでジョリパットに関しては経験がある方かな。
ジョリパットは他にどんな特徴があるの?
耐久性もあるのは嬉しいわね。
仕上げ材 として性能が高く、設計士から支持されている素材で、特別感のある塗り壁に仕上がる。かれこれ30年くらい施工に関わっているけれど、メーカーも熱心だから対応が早いのも良い。
パターンが豊富なのは嬉しいけれど、迷いそうね。
ジョリパットのカタログもあるけれど、まずはメーカーの色柄見本を見て当りをつけると良いよ。そこから現場監督や施工者にイメージを伝えると柄見本板を作ってくれる。
うまくイメージを伝えられるかしら?
色やパターンの見え方は周りの環境によっても影響を受けるから、なるべく実際に近いシチュエーションでチェックした方が良い。昼と夜でも見え方は変わってくるので、その点も考慮しておくと完璧。
吹き付けもあるし、コテ塗りもあるし、内装も外壁も塗れる。色や テクスチャー に関しては面積によっても印象が変わる。だから小さい 見本板 と壁では印象が変わって見える場合もあるので、実際に工事する時に立ち会って微妙なニュアンスを調整して貰うと良い。
材料としては高級品なの?
そうだね、高品質だしブランド力のある商材、商品が色々ある中で対応が早いので安心感がある。カタログの作り方も含め洗練されている。住宅の仕上げで満足を得たいという方はぜひジョリパットを検討してみて下さい。
事務局解説(まとめ+ディティールを情緒的に)
要点のまとめ
判断は三段階:見本板→試し塗り→当日微調整。
色は状況で変わる:光(昼夜・方位)/面積/周辺反射で印象が揺れる。
端部が品位を決める:出角・入角・サッシ際の直線性が“締まり”になる。
ディティール解説
最初に触れるのは骨材と塗厚。ザラリと指先に乗る粒は、光を細かく受け止めて陰影という輪郭を生みます。濃い色は影が深く、淡い色は面がすっと伸びる。けれど、そのバランスは面の広さと見る距離でたちまち揺らぎます。だからこそ、A4以上の見本板を屋外の日差しの下で、夕景の柔らかな光で、室内照明の色温度で——三つの光で確かめる。紙の上の憧れを、壁の上の現実に変えるための小さな儀式です。
当日は、職人のコテ先が語りはじめます。押さえを強くすれば粒は寝て、弱ければ立つ。1ミリにも満たない角度の違いが、面の表情を変えてしまうから、合図を持ちましょう。「この押さえ、このタイミング、この線で」。そして出角の一刀。ここが立てば、家は凛とする。端部がほどければ、どれほど面が整っていても心が落ちる。その緊張を、職人と共有できた現場は、美しいまま終わります。
最後に、見切りと目地。日は替わり、風は変わり、材料は呼吸します。無理に面を伸ばさず、どこで区切るかを最初に決める。設計図の線が、現場の安心に変わる瞬間です。ジョリパットは“厚みのある意思表示”。あなたが選んだ色とパターンが、毎日を迎える顔になります。焦らず、手で、目で、光で確かめて、納得の一枚を重ねていきましょう。
合同会社 鏝志(こてじん) 代表
対応エリア:岐阜県、愛知県、三重県、但し条件合えば どこでも行きます。
対応できる工事:漆喰(内装)、珪藻土,壁の補修(内装),リフォーム工事(内装),漆喰(外壁),モルタル,壁の補修(外壁),リフォーム工事(外壁),ジョリパット(外壁),大壁工法,しらす壁,そとん壁,かき落とし,洗い出し,タイル工事,一般左官工事,塗装(ペンキ),乱形石
お薦めのデザイン:コンクリート系、フラット系
備考:バンドに夢中で大学中退後もまともに就職してなかったが、
当時のメンバーに薦められて、彼の勤めていた塗装店に職人として入社。
三年経った頃、当時の取引先社長から「ウチの会社で営業してみないか?」
と誘われ転職する。
そこの会社はマンションの大規模修繕を営む会社で、
その頃に塗装工事のノウハウを叩き込まれる。
10年勤めた頃、仕事への方向性が合わなくなり退社。
次の勤め先を決めずに退社したので、一年ほど人材派遣に頼りながら生活し、
その後左官工事店に入社。そこで左官工事を学ぶ。
8年勤めた頃に残念ながら倒産し、それを機に独立し現在に至る。
<プロフィール>
愛知県江南市出身、巳(み)年、てんびん座
【好きなもの】麻婆豆腐、ハイボール、音楽:new jeans、バイクDucati:mh900e、車:landrover:defender、脚本家:宮藤官九郎、映画:役所広司 すばらしき世界
【苦手なもの】月曜日の朝、冬場の静電気、ホヤの食感、デリカシーの無い人、食券機の店
【マイブーム】中華鍋を使った料理を作る事
