
ベタ基礎とは?(べたぎそ/raft foundation, mat foundation)
建物の床下全面を鉄筋コンクリートのスラブで覆い、立上り梁と一体化させた基礎形式。面で荷重を受けて地盤に分散させるのが特徴で、不同沈下の抑制や地震時の面内剛性の確保に有利。
基本構成
- スラブ(床下全面のRC板)+立上り梁(外周・間仕切り下)
- 下層:地業(転圧)→クラッシャーラン等の砕石層→(必要に応じて)防湿層
- 給排水貫通部にはスリーブ・止水処理を設ける
使いどころ/目的
- 敷地・地盤条件
- 軟弱~中位地盤で荷重の面分散を図りたい場合
- 不同沈下リスクを抑えたい木造・RC造の戸建て・小規模建築
- 建物条件
- ウォールラインが多い・重量物が点在するプラン(設備室、ビルトインガレージ併設など)
- 地震・液状化対策の一環として面剛性を高めたい場合(※地盤対策は別途検討)
- 左官・外構との関係(混同注意)
- 土間や外構の仕上げ下地としても一体で計画しやすい
- 防湿コンクリートや捨てコンクリートとは目的が異なる(下記参照)
似ている用語
- ベタ基礎 vs 布基礎:ベタは全面スラブで面支持。布は連続フーチングで線支持。軟弱地盤や不同沈下抑制はベタが有利だが、コンクリート量が増える。
- ベタ基礎 vs 防湿コンクリート:防湿コンは湿気抑制が主目的の土間で構造体でないことがある。ベタは構造用RCで耐力部材。
- ベタ基礎 vs 捨てコンクリート:捨てコンは墨出し・型枠精度確保のための下地。耐力を期待しない。ベタは主構造。
- ベタ基礎 vs 杭基礎:杭は支持層に伝達する深い基礎。ベタは直接基礎で浅い。地盤条件とコストで使い分ける。
施工上の注意点・よくあるミス
- 地業・転圧不足
- 砕石層の締固め不足は沈下・ひび割れの起点。含水管理と層厚ごとの転圧を実施。
- 防湿・止水の連続性欠落
- シートの重ね・立上りの不連続、貫通部の処理漏れで湿気・臭気が侵入。テープ・シールで連続化。
- 配筋・かぶり不足
- 砂利噛み・スペーサ不足でかぶり欠損→錆び・耐久低下。サイコロ・馬踏みを適正配置。
- コールドジョイント
- 打設中断・継ぎ目処理不足で弱層。一体打設計画と運搬・締固めを管理。
- ひび割れ制御不良
- 急乾・高温・風で収縮ひび。散水・養生マット・適切な養生期間を確保。
- アンカーボルトの位置ズレ
- 土台・金物と不整合。型枠時の治具・通り墨で事前固定。
- 断熱・防蟻との取り合いミス
- 基礎断熱材の欠損や防蟻ラインの途切れで結露・蟻道。連続ディテールを図面化。
- スラブ厚・補強の偏り
- 重量部下のリブ・配筋増しを忘れるとパンチング・たわみの誘因。
関連する用語
基礎/地耐力/不同沈下/防湿層/基礎断熱
布基礎/捨てコンクリート/防湿コンクリート/アンカーボルト/スリーブ・止水処理
