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土壁の業者選定を解説

土壁工事を成功させる業者選び|ノウハウ・実績・職人ネットワークを持つ工務店の見極め方

土壁工事で最も重要なのは、実は施工技術そのものより「適切な業者を選べるかどうか」です。客観的に土壁案件を見てきた谷澤氏は、「土壁がきちんとできる設計や工務店は、かなり限られている」と語ります。土壁の経験がない業者に依頼すると、小舞職人が見つからない、材料の調達ができない、見積もりが曖昧で後から追加費用が発生するなど、トラブルが続出します。逆に、土壁のノウハウを持ち、小舞職人とのネットワークがある業者なら、スムーズに施工が進みます。このインタビューでは、谷澤氏が工務店の立場から見た「土壁工事を成功させる業者選びのポイント」を、実例を交えて詳しく解説します。

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このインタビューで分かること
  • 土壁対応できる工務店・左官業者の見極め方(ノウハウ・実績・職人ネットワーク)
  • 土壁のメリット(調湿性能・独特の風合い)とデメリット(コスト・職人不足・ひび割れ)の現実
  • 土壁風仕上げ(ジョリパット・わらすさ入り)という代替案の具体的な選択肢

このテーマの背景

土壁工事は「やりたい」と思っても、実際に対応できる業者を見つけるのが最初の難関です。一般的な左官業者でも、土壁の経験がない職人は珍しくありません。ホームページに「左官工事」と書いてあっても、実際には漆喰やジョリパットが専門で、土壁は手がけたことがないケースもあります。

谷澤氏が強調するのは、「詳しくかつ実績があるか」という点です。理論的な知識だけでなく、実際に小舞を組んで土壁を塗った経験がある業者でなければ、現場で問題が発生した際に対応できません。また、小舞職人や材料の調達ルートを持っていることも必須条件です。

工務店の立場から見ると、土壁案件は「リスクが高い」と感じることもあります。見積もりを高めに出すと取れず、安く出すと赤字になる可能性がある。職人の手配に時間がかかり、養生期間も長い。それでも、土壁の調湿性能や独特の風合いを求める施主がいる以上、ノウハウを持つ業者とのネットワークを維持することが重要です。

このインタビューでは、谷澤氏が実際にどのように小舞職人を見つけたか、土壁風仕上げとしてのジョリパットをどう提案するか、そして「まずはノウハウを持つ工務店を見つけること」というアドバイスまで、発注者・管理者視点での実践的な情報を提供します。

柿尾 敏子柿尾 敏子

土壁 に関してインタビューをさせていただきたいと思います。土壁って何でしょうか?

谷澤 雄司谷澤 雄司

そうですね。土壁といえば日本古来の伝統の工法っていうところになるんでしょうけど、うち自体で実績はないんですよ。ただ話に聞くとやっぱり 小舞 を結ったりする職人さんもかなり少なくなってきてて、扱っている左官屋さんもかなり少ないっていうのがまず印象ですかね。

柿尾 敏子柿尾 敏子

今言われた小舞って何ですか?

谷澤 雄司谷澤 雄司

土壁を塗る 下地 で竹を細く切って格子状に結ってですね、土壁が塗れるための下地を作るんですけど、ラスモルタル で言うと モルタル を塗るためのラスみたいな役割ですよね。それをその小舞を格子状に手で、ラスは出来上がりのものをパンパンって打っていくんだけど、小舞は格子を縦横縦横組んで、でそれを結んで下地を作っていくっていう形なんですごく手間のかかる作業ですよね。

柿尾 敏子柿尾 敏子

竹を編んでいくんですか?

谷澤 雄司谷澤 雄司

そうです。竹を細く切って、どうでしょうね、どうなんだろう1センチぐらいなのかな幅が。それをここに組んでいくっていう、それを交差するところを一箇所ずつ全部それを結ってって感じですよね。

柿尾 敏子柿尾 敏子

すごいですね。まだその職人さんいるんですか?

谷澤 雄司谷澤 雄司

うーん、僕もその竹小舞やるところ知らなかったんですけど、田口業務店さんに聞いたら、竹屋さんを田口さんが知ってて、で、電話していっぺん伺っていいですかって言ったら、心よく来ないよっていう感じだったんで、まあいろいろ聞いてあって、竹を仕入れたりとか、竹を扱う、そんでその流れで竹小舞を言う仕事もしてるっていう。それの関連で土壁塗る職人も知っとるよっていう、そんな感じでしたよね。だからサークルがもうできてるんでしょうね、そういう。

柿尾 敏子柿尾 敏子

竹屋さんが土壁のことも詳しいんですか?

谷澤 雄司谷澤 雄司

そうですね。僕の場合はそうでした。土壁関連の情報を持ってる感じですね。

柿尾 敏子柿尾 敏子

土壁を依頼されることはあまりないということですが、どういう場合に依頼されるんでしょうか?

谷澤 雄司谷澤 雄司

専門ってわけじゃないんですけど、社寺仏閣系に強い工務店が、見積もりの依頼の中に時々、小舞で土壁塗って、漆喰で仕上げる、みたいな内容の見積もりがあったりします。結局聞いて、聞いた値段で、ちょっと心配なもんだから高めに出している。

柿尾 敏子柿尾 敏子

土壁のメリットは何になるんでしょうか?

谷澤 雄司谷澤 雄司

そうですね。やっぱりサイディングとかとは違う独特の風合いっていうんでしょうかね。これはやっぱり特化してるもので、あとは性能的に調湿性能がかなり高いっていうのは、かなりこれは性能としては評価されるとこだと思いますね。

柿尾 敏子柿尾 敏子

逆に土壁の悪いところは何でしょう?

谷澤 雄司谷澤 雄司

デメリットはですね、コストが高く、職人さんも少なく、ひび割れが入りやすいっていう、そこらへんでしょうかね。

柿尾 敏子柿尾 敏子

職人さんは少ないんですか?

谷澤 雄司谷澤 雄司

やっぱりやる人少ないんじゃないですかね。物件も少ないもんだから、ちょっと暇な時期が続いてるから、ずっとみんなの応援に出てるっていう話を聞きますんで、なかなか振り切った仕事の仕方で土壁専門みたいになっちゃうと、なかなかそんなにしょっちゅうあるものではないって感じみたいですね、実情は。

柿尾 敏子柿尾 敏子

本物の土壁じゃなくて、土壁の雰囲気を出す方法もあるんですか?

谷澤 雄司谷澤 雄司

そうですね。ジョリパットで見ため的に土壁を再現することができるんですよ。まさに土壁っていう模様があるぐらいで、中に スサ 、土壁のときに入れるすさ、わらすさを入れた仕上げ方があって、もう全然なんちゃってではありますけど、土壁ぽくっていう。

柿尾 敏子柿尾 敏子

土壁風っていうのもあるんですね。

谷澤 雄司谷澤 雄司

そうですね。

柿尾 敏子柿尾 敏子

そういう土壁風の仕上げだと、費用はどれくらいかかるんですか?

谷澤 雄司谷澤 雄司

そのジョリパットで土壁風を再現するときは、設計価格レベルになりますけれども、ちなみにメーカーが公表している設計価格だと、4,800円が設計価格。

柿尾 敏子柿尾 敏子

1平米あたりですか?

谷澤 雄司谷澤 雄司

平米あたり。1m、1mをするのに4,800円は、やっぱりジョリパットで土壁風に仕上げるときにかかるよという。そうですね。あとはそれが面積によって、面積が多くなればどうでしょう。2,000円~3,000円、2,500円とかそれぐらいでできるようになったりとか。少なければもう定価になっちゃいますし。

柿尾 敏子柿尾 敏子

土壁を新築や改修で検討している方に、アドバイスがあればお願いします。

谷澤 雄司谷澤 雄司

そうですね。さっきデメリットの中に職人さんを探すのが大変っていう話もしましたけど、それと同時に土壁がきちんとできる設計とか工務店っていうのも、かなり限られてると思うんですよね。まずはそこからっていうことじゃないでしょうかね。ちゃんとノウハウを分かっているところでやるっていうのが、やっぱり一番の注意点じゃないでしょうかね。

柿尾 敏子柿尾 敏子

ノウハウを持っているところを探すということですね。

谷澤 雄司谷澤 雄司

おのずとそういうところは、小舞だったらここ、土壁塗るんだったらここっていう職人さんを抱えてるはずなので、ちゃんと知っているところにきちんとやってもらうっていうことが、一番大事なんじゃないかなと思います。

柿尾 敏子柿尾 敏子

工務店さんや建設会社に土壁の実績があるかどうかが大事ということですね。

谷澤 雄司谷澤 雄司

詳しくかつ実績があるか、そこですね。

インタビューのポイント整理
  • 土壁対応できる業者は限られており、まず「土壁のノウハウと実績を持つ工務店・設計士」を見つけることが最優先
  • 土壁のメリットは調湿性能と独特の風合いだが、デメリットはコスト高・職人不足・ひび割れで現実的な判断が必要
  • 小舞職人は竹屋経由で見つかることが多く、田口氏のような左官のプロに相談すれば紹介ルートを持っている
  • ジョリパット土壁模様やわらすさ入り珪藻土という「なんちゃって土壁」は、コストと工期を抑えつつ雰囲気を出せる現実的な選択肢
  • 業者選びでは「詳しくかつ実績がある」ことを確認し、小舞職人・材料調達ルートを持っているかを事前に聞くべき

補足情報|土壁業者選びの具体的なチェックポイント

谷澤氏が強調するのは、「土壁ができる」と言う業者と、「実際にできる」業者の違いです。ホームページに「伝統工法対応」と書いてあっても、実際には経験がないケースもあります。

社寺仏閣工事の実績は、最も信頼できる指標です。お寺や神社の修復工事では、本格的な土壁施工が求められます。谷澤氏が紹介したように、社寺仏閣系に強い工務店は、定期的に土壁案件を手がけているため、小舞職人や材料の調達ルートを確保しています。

小舞職人とのネットワークがあるかは必須の確認事項です。谷澤氏自身も、土壁の見積もり依頼があった際、田口氏に相談して竹屋さんを紹介してもらいました。竹屋さんは竹の仕入れから小舞の施工まで一貫して対応でき、さらに土壁を塗る左官職人も知っているため、ワンストップで手配できます。このようなネットワークを持つ業者を見つけることが、土壁工事成功の鍵です。

見積もりの内訳を確認することも重要です。谷澤氏は「ちょっと心配なもんだから高めに出して」と語っていますが、これは土壁工事のリスクを反映した結果です。見積もりが曖昧で「土壁一式○○万円」とだけ書かれている場合、小舞・荒壁・中塗り・仕上げ・養生管理のどこまでが含まれているか不明確です。詳細な内訳を求め、追加費用の可能性についても事前に確認しましょう。

土壁風仕上げの提案ができるかも、業者の柔軟性を測る指標です。谷澤氏が紹介したジョリパット土壁模様は、設計価格4,800円/㎡ですが、面積が多ければ2,000〜3,000円程度まで下がります。本物の土壁は難しくても、「土壁の雰囲気を出したい」という施主には、こうした代替案を提案できる業者が望ましいです。

調湿性能の説明ができるかも確認ポイントです。土壁の大きなメリットは調湿性能ですが、これを数値やデータで説明できる業者は少ないです。「独特の風合い」という美的価値だけでなく、「湿度を調整して快適な住環境を作る」という機能的価値を理解している業者なら、施主への説明も説得力があります。

デメリットを正直に伝えるかも重要です。谷澤氏は「コストが高く、職人も少なく、ひび割れが入りやすい」とデメリットを明確に語りました。良い業者は、メリットだけでなくデメリットも正直に伝え、その上で「それでも土壁を選ぶ価値があるか」を施主に判断してもらいます。都合の良いことだけを言う業者は、後からトラブルになる可能性があります。


実践的なアドバイス|土壁工事を依頼する前にすべきこと

谷澤氏のインタビューから、土壁工事を依頼する前に確認すべきポイントが明確になります。

まず、工務店や設計士に「土壁の実績があるか」を聞きましょう。「何年前に何件手がけたか」「社寺仏閣の経験はあるか」「最近の土壁案件はいつか」といった具体的な質問をすることで、本当に経験があるかが分かります。「できます」と言うだけでなく、施工写真や事例を見せてもらいましょう。

**次に、「小舞職人を手配できるか」を確認してください。**これが最大の難関です。「知り合いの竹屋さんがいる」「田口さんのような左官職人とつながりがある」といった具体的なルートを持っている業者なら安心です。「探せばいると思います」という曖昧な回答の業者は、実際には手配できない可能性があります。

材料の調達ルートも確認しましょう。「泥練はどこから仕入れるのか」「大垣から取り寄せるのか、他のルートがあるのか」といった質問に答えられる業者は、土壁の経験があります。材料調達が曖昧な業者は、施工段階で困ることになります。

**土壁風仕上げの選択肢も聞いてみましょう。**本格的な土壁が予算や工期的に難しい場合、 ジョリパット や 藁スサ 入り 珪藻土 という代替案があります。これらを提案できる業者は、施主の要望と現実のギャップを埋める柔軟性を持っています。「土壁しかやりません」という業者より、「予算に応じて複数の選択肢を提案できる」業者の方が、満足度の高い結果につながります。

**最後に、複数の業者から見積もりを取り、内容を比較してください。これは土壁工事の相場感を知る上で重要なプロセスです。3社以上から見積もりを取り、価格だけでなく、内訳の詳しさ、デメリットの説明の有無、職人の手配方法などを総合的に判断しましょう。

土壁をリフォームする際の注意点を解説

主要トピック「土壁リフォーム完全ガイド」補修方法・費用相場から業者選びまで徹底解説

こちらの関連記事では、総合的に「土壁」について解説しています。この記事の後に是非ご一読下さい。

編集後記

谷澤氏のインタビューで最も印象的だったのは、「まずはノウハウを持つ工務店や設計士を見つけること」というアドバイスです。土壁は特殊な工事なので、施主が直接左官職人を探すのは現実的ではありません。まず、土壁の経験がある工務店や設計士を見つけ、その人たちが信頼する左官職人や小舞職人を紹介してもらう。このルートが、土壁工事成功の王道です。谷澤氏自身も、土壁の施工実績はないものの、田口氏のような左官のプロとのネットワークを持つことで、いざという時に対応できる体制を作っています。土壁は「やりたい」と思っても、業者が見つからなければ実現しません。逆に、適切な業者さえ見つかれば、予算や工期の調整、材料の調達、職人の手配など、すべてがスムーズに進みます。土壁を検討している方は、まず「詳しくかつ実績がある」業者探しから始めてください。その一歩が、土壁のある豊かな住空間への扉を開きます。

Author:谷澤 雄司

合同会社 鏝志(こてじん) 代表

対応エリア:岐阜県、愛知県、三重県、但し条件合えば どこでも行きます。

対応できる工事:漆喰(内装)、珪藻土,壁の補修(内装),リフォーム工事(内装),漆喰(外壁),モルタル,壁の補修(外壁),リフォーム工事(外壁),ジョリパット(外壁),大壁工法,しらす壁,そとん壁,かき落とし,洗い出し,タイル工事,一般左官工事,塗装(ペンキ),乱形石
お薦めのデザイン:コンクリート系、フラット系
備考:バンドに夢中で大学中退後もまともに就職してなかったが、
当時のメンバーに薦められて、彼の勤めていた塗装店に職人として入社。
三年経った頃、当時の取引先社長から「ウチの会社で営業してみないか?」
と誘われ転職する。
そこの会社はマンションの大規模修繕を営む会社で、
その頃に塗装工事のノウハウを叩き込まれる。
10年勤めた頃、仕事への方向性が合わなくなり退社。
次の勤め先を決めずに退社したので、一年ほど人材派遣に頼りながら生活し、
その後左官工事店に入社。そこで左官工事を学ぶ。
8年勤めた頃に残念ながら倒産し、それを機に独立し現在に至る。

<プロフィール>
愛知県江南市出身、巳(み)年、てんびん座
【好きなもの】麻婆豆腐、ハイボール、音楽:new jeans、バイクDucati:mh900e、車:landrover:defender、脚本家:宮藤官九郎、映画:役所広司 すばらしき世界
【苦手なもの】月曜日の朝、冬場の静電気、ホヤの食感、デリカシーの無い人、食券機の店
【マイブーム】中華鍋を使った料理を作る事

052-332-8788
愛知県名古屋市中区金山1-11-10-1005

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