
吸音性(きゅうおんせい/Sound Absorption)とは?
左官の塗り壁において、材料表面や内部の微細な空隙によって音の反射エネルギーを減衰させる作用を指します。
特に塗り壁では、多孔質構造・骨材粒径・塗り厚・仕上げ方法が吸音性能に直接影響します。
左官における吸音は
「音を止める」のではなく
「音を壁の中に取り込んで拡散・減衰させる」性能です。
使いどころ/目的
内装(左官塗り壁が活きる場面)
- 会議室・応接室:声の反射を抑え聞き取りやすくする
- 店舗・飲食店:反響音・ざわつきの軽減
- 住宅(LDK・吹き抜け):硬質反射音の緩和
外壁・外部
- 基本的に左官の吸音目的では用いない
- 外部騒音対策は遮音・防音領域
下地条件との関係(重要)
- 通気性のある下地+多孔質左官材で初めて効果が出る
- RC直下地に密実塗り → 吸音効果はほぼ期待できない
類似用語との混同・誤用に注意!
「塗り壁=吸音」ではない。
平滑・密実に押さえた塗り壁はむしろ反射材。
似ている用語
- 遮音
定義:音を通さない構造性能
用途:界壁・床スラブ
材料:RC・ALC
注意点:左官仕上げでは基本的に担えない - 防音
定義:吸音+遮音を含む総称
用途:音対策全般
材料:複合構成
注意点:左官単体で完結しない - 多孔質仕上げ
定義:微細な空隙を持つ仕上げ
用途:吸音・調湿
材料:漆喰・珪藻土・専用左官材
注意点:塗り潰すと性能消失 - 意匠左官
定義:表情・質感重視の仕上げ
用途:内装壁
材料:各種
注意点:吸音性能は仕上げ次第
施工上の注意点・よくあるミス(左官特有)
- 金鏝で押さえすぎると吸音層が潰れる
- 上塗りで孔を塞ぎ見た目だけ吸音風になる
- 下地が密実すぎて音が内部に入らない
- 骨材粒径が小さすぎて吸音帯域が限定される
- 温湿度管理不足で空隙構造が不安定になる
※ 吸音は「仕上げ方」ではなく
材料選定+下地+塗り加減の総合設計。
関連する用語
建築音響・左官仕上げ
多孔質左官材
漆喰
珪藻土
塗り壁
意匠(デザイン)
