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コテ波

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コテ波の良し悪しが仕上げに影響する

コテ波とは?(こてなみ/trowel wave)

左官仕上げ面にコテ運びとコテ圧の差で生じるうねり状の凹凸や陰影。意図して残す意匠的な波と、フラット仕上げで生じる不具合としての波の両義がある。

種別の捉え方

  • 意匠(デザイン):押さえ方向やリズムを設計し、陰影を活かす仕上げ。
  • 欠陥(不陸:不要な波形で、光のスリ傷のように目立つ“なぶり・ムラ”。

使いどころ/目的

  • 内装
    • 意匠壁:間接照明やななめ入射で陰影を楽しむ。カフェ・住宅のアクセント。
    • フラット仕上げの禁忌:天井・廊下などレイク光が強い面では波を抑制。
  • 外壁
    • 厚塗りモルタルの意匠押さえで粗めの表情を付与。
    • 雨仕舞い面・腰壁など汚れが目立つ部位では極端な波形は避ける
  • 下地条件・材料
    • 粒度の大きい下地モルタル・土系)は波が出やすい。
    • 石膏・漆喰の薄塗りは押さえのタイミング管理でコントロール。

類似用語との混同注意:コテ跡(エッジ線)や鏝ムラ(色艶ムラ)とは別概念。


似ている用語

  • コテ波 vs コテ跡:コテ波は面のうねり。コテ跡はコテのエッジが残した線状痕で、照明で線として現れる。
  • コテ波 vs 鏝ムラ(焼きムラ):コテ波は形状の凹凸、鏝ムラは押さえ過多や含水差で起きる色・艶のムラ
  • コテ波 vs 不陸:不陸は下地起因の面精度不足。コテ波は仕上げ工程のコテ操作で生じる。原因と対処が異なる。
  • コテ波 vs 刷毛目:刷毛目は道具が刷毛で、筋目を意図的に残す工法。コテ波は鏝の走りでできる波状テクスチャ。

施工上の注意点・よくあるミス

  • コテ圧・角度の不均一
    • 肘支点のブレで帯状の波コテ面を寝かせ、圧を一定に保つ。
  • タイミング誤り(締まり待ち不足/過ぎ)
    • 早すぎ→なぶり・砂すじ。遅すぎ→焼き・艶ムラ。小面積で試し押さえ
  • 水引きの偏り
    • 吸水差を放置→局所波。吸水調整材・霧吹きで均す。
  • 過度の追い回し
    • 何度も撫でて蛇行波層ごとの回数を決める(例:のし→中押さえ→仕上げ1回)。
  • 道具選定ミス
    • 硬い金鏝のみで押さえ続けると波+焼き。木鏝・樹脂鏝→金鏝の順で使い分け。
  • 下地不陸を仕上げで矯正
    • 仕上げ層で無理に矯正→厚薄ムラが波に。下地段階で面出しを完了。
  • 照明計画の不整合
    • 仕上げ後にグレージングライトが追加され波が強調。モックアップ+想定照明で確認。
  • 温湿度管理不足
    • 低温高湿で遅延乾燥→押さえ回数増え波状化。5〜35℃/RH85%以下目安で換気・送風を適切に。

関連する用語

左官仕上げ/面精度(不陸)/照明計画(グレージング)/吸水調整材/試験施工
金鏝・木鏝・樹脂鏝/コテ跡/鏝ムラ(焼きムラ)/刷毛引き/パターン押さえ