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遮熱とは?(しゃねつ/solar reflectance, radiant barrier)
日射(主に赤外域)の吸収を減らし、表面温度上昇と躯体への熱流入を抑える設計・施工の総称。高反射仕上げ・遮熱塗料・遮熱シート(遮熱層)・通気層などの組合せ設計で効果を得る。
使いどころ/目的
- 屋根・屋上
- 高反射仕上げ/遮熱塗料で夏季の日射熱負荷低減、室内のピーク負荷抑制。
- 外壁
- 淡彩・高反射顔料の仕上げや通気層で表面温度と壁体内蓄熱を抑える。
- 窓・開口部
- **日射遮蔽部材(庇・ルーバー・ブラインド)**の角度設計。
- 下地条件(混同・誤用に注意)
- 遮熱と断熱は別:遮熱は輻射を反射、断熱は熱移動全般の抑制。多くの場面で併用が前提。
- 色と艶で性能が左右:濃色・高艶は夏期温度上昇が大きい。意匠と性能のバランスを取る。
- 通気層の有無で効果が変化。遮熱層の上下面の空気流を設計する。
似ている用語
- 遮熱と断熱:遮熱は日射の反射・放射率制御で表面加熱を抑制。断熱は伝導・対流・放射の熱流全般を鈍らせる。併用で外皮の総合性能を高める。
- 遮熱と反射率(アルベド):遮熱は材料・層構成による設計概念。反射率はその表面が光をどれだけ反射するかの指標。
- 遮熱と日射遮蔽(庇・スクリーン):遮熱仕上げは受ける熱を減らす、日射遮蔽は光を入れない外付け要素。両者の位置と角度が鍵。
- 遮熱塗料と高反射塗装:どちらも赤外反射を狙うが、顔料・結合材・耐候性は製品ごとに異なる。仕様書で確認。
- 遮熱と放熱(放射冷却):遮熱は入る熱を減らす、放熱は夜間に熱を逃がす発想。目的と条件が異なる。
施工上の注意点・よくあるミス
- 下地吸い込み・汚れの放置
- 高反射面は汚れで性能低下。洗浄→下地調整→適合プライマーを厳守。
- 艶・色選定の不整合
- 濃色指定なのに遮熱期待→温度低減が小さい。淡彩・高反射顔料へ仕様検討。
- 通気層の閉塞
- 軒・棟・水切りの入口/出口を塞いで熱溜まり。開口と風道を確保。
- 金属屋根の反射グレア
- 反射まぶしさの近隣配慮不足。艶消し・中間色で抑制。
- 屋根のみ対策
- 壁・開口の日射遮蔽が弱いと効果が頭打ち。外付け庇・ルーバーも併用。
- 耐久・清掃計画不足
- 高反射面は汚れ・白亜化で性能低下。清掃計画と再塗周期を前提化。
- 遮熱“だけ”で結露対策
- 冬期は断熱・防湿が主題。遮熱層のみでは内部結露を防げない。
関連する用語
外皮性能/夏季の熱負荷制御
断熱/通気層/高反射仕上げ(遮熱塗料・淡彩)/日射遮蔽(庇・ルーバー)/放射率・反射率



